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窪田師匠がメガバンク推し!

3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
利回り4.3~5.4%!3メガ銀行、好決算発表でも株価がさえないのはなぜ?
NEW 2021/11/17
窪田 真之
●3メガ銀行の買い判断を再確認
金利が下がる都度、売られてきた銀行株
金利低下でも高水準の収益を維持
三菱UFJ・三井住友は増配・自社株買い発表、みずほは増配のみ発表
三菱UFJと三井住友は自社株買いも発表
●3社とも巨額の有価証券含み益を有する
●決算発表後の株価がさえない、考えられる2つの理由
●NISAで利回り5%を稼ぐ、高配当投資術
3メガ銀行の買い判断を再確認
 3メガ銀行の9月中間決算(2022年3月期の上半期決算)が出そろいました。私は、3メガ銀行株を「買い」と判断しています。

 投資魅力が高い順に、【1】三菱UFJ FG(8306)→【2】三井住友FG(8316)→【3】みずほFG(8411)と判断しています。コロナ禍でも低金利下でもしっかり高水準の利益を稼ぐ力があることを見て、その確信を強めました。

 今回の決算発表で、出色の出来だったのは、三菱UFJ FGです。上半期決算発表と同時に、通期(2022年3月期)の純利益目標を8,500億円から1兆500億円へ大幅に引き上げました。

 2015年3月期にあげた最高益1兆337億円を超え、7期ぶりに最高益を更新する見通しです。同時に、増配(1株当たり配当金予想27円→28円)と、自社株買い(上限1,500億円)決議を発表しました。

 次に好決算と言えるのが、三井住友FGです。通期(2022年3月期)の純利益予想を6,000億円から6,700億円に上方修正しました。2014年3月期の最高益8,353億円には届かないものの高水準の利益見通しです。

 同時に、増配(1株当たり配当金予想200円→210円)と、自社株買い(上限1,000億円)決議を発表しました。

 やや見劣りする決算内容だったのが、みずほFGです。通期(2022年3月期)の純利益予想を5,100億円から5,300億円へ少しだけ上方修正しました。増配(1株当たり配当金予想75円→80円)を発表しましたが、自社株買いの実施は発表しませんでした。

 3社とも、業績見通し上方修正、増配を発表したので、予想PER(株価収益率)は低下、配当利回りは上昇しました。以下の通り、11月16日時点でPER・PBR(株価純資産倍率)・配当利回りで見て、きわめて割安な株価評価となっています。

(中略)
決算発表後の株価がさえない、考えられる2つの理由
これだけ良い決算を発表したので、決算後の株価はさぞ上がるだろうと思いきや、実はさえない動きとなっています。
三菱UFJは決算発表後の初日である16日に、株価が3.2円(0.49%)しか上がりませんでした。三井住友は決算発表後の2営業日(15・16日)で、株価は39円(1.0%)しか上がりませんでした。みずほは、決算発表後の2営業日で、株価は38円(2.4%)下がりました。

 なぜ、このようなさえない動きとなったのでしょう。2つの理由が考えられます。

【1】株式市場が過度なグロース物色にかたよっている
 三菱UFJにかかわらず、日本株でとても良い決算を発表してPERなどできわめて低い評価となり、予想配当利回りは高くなったのに、株価が売られる例が続出しています。海運株・鉄鋼株・大手総合商社・メガ銀行などです。

 一方で、米国のテスラに見られるように、予想PER150倍あまりの高評価のグロース株が、派手に上昇する現象が起こっています。

 私は、株式相場が「グロース偏重・バリュー無視」で行き過ぎている可能性があると考えています。

 それでは、割安好業績の日本株をどんどん買っていったら良いのでしょうか? そう単純には判断できません。バリュー株の好業績が一時的で、来期以降、バリュー株の業績が悪化するリスクもあるからです。

 きわめて割安に見える株でも、実際に買う時は、来期以降のリスクも考えて選別投資すべきと考えています。

 大手総合商社とメガ銀行は、中長期的に高水準の利益をあげていく力があると、私は予想しています。したがって、割安株として投資していって良いと判断しています。

 一方、海運と鉄鋼は、投資するとしても「短期投資」に限るべきと思います。海運と鉄鋼は、好業績の時に大きな利益を出すが、ひとたび不況になると大きな赤字に陥る傾向があるからです。好不況の差がきわめて大きいので、要注意です。

【2】メガ銀行の今期利益は一時的要因でかさあげされている
 3メガ銀行の今期利益が大きく伸びますが、その中に一時的要因が含まれています。貸倒引当金の戻入益が大きくなっていることです。

 これは、前期・前々期の貸し倒れの見積額が大きすぎたことによって生じているものです。つまり、前期・前々期に貸倒引当金を過剰に繰り入れし、その分、前期・前々期の利益が低下したものが、今期になって戻ってきているという形です。

 貸倒引当金の戻りが大きいのは一時的です。来期になると、それが純利益を押し上げる効果は剥落します。貸倒引当金の戻りが減少することが、来期の減益要因となります。

 今期の純利益が貸倒引当金の戻りによって押し上げられていることは、3社の業務純益を見るとわかります。

 業務純益とは、一般企業の営業利益に当たるもので、銀行の本業の収益力を示します。与信コストの変動は含まれません。その業務純益で見ると、実は今上期は三菱UFJと三井住友は減益でした。

 業務純益には、コロナの影響があまり及んでいません。コロナ禍で落ち込むこともありませんでしたが、コロナの影響が薄れても、反動で増加する形とはなっていません。

 銀行の利益変動を見る場合、純利益が一番大切なのは言うまでもありませんが、業務純益の変動も併せて見ていく必要があります。業務純益で見ると、今期の決算は特別に良い決算というわけではありません。

 ただし、今期増益に一時的要因が大きいことを考慮してもなお、3メガ銀行の株価が割安で、長期投資することで資産形成に寄与するとの私の判断は変わりません。

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