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つばめ投資顧問メガ損保レポート

栫井さんのつばめ投資顧問のアナリストである佐々木 悠(ささき はるか)氏がメガ損保2社についてレポートを書いている。読み応えあり。SOMPOについて、農業保険のことは初めて知った、介護事業への参入=リストラではない、というのは当のSOMPOの人事課長だか部長だかがインタビューで反論していたのを見たことがあるが、納得した。


競合他社と比較し、SOMPOは国内と海外の収益のバランスが非常に良いことがわかります。

このバランスの良さには海外保険の成長が影響しています。積極的なM&Aが功を奏したことに加え、農業保険の需要が高まったことが主な要因です。

農業保険はあまり馴染みがないですが、自然災害による農作物の被害や市場価格の下落による農家の減収を補償する保険です。企業としては景気と連動しにくいため法人向け損害保険の商品に対してリスク分散効果があるとされています。

なぜ介護事業に参入するのか?
そして、競合他社との大きな違いは介護分野に事業展開していることです。上のセグメント別利益推移の緑色の線が介護事業です。

損保の収入に比べれば利益規模は小さいですが、住宅系介護業界ではグループ子会社のSOMPOケアが業界トップです。

しかし、一般的に介護業界は利益が出づらい業界です。介護職員が必要であり、開業にも設備投資など多大なコストがかかるため、難しい業界であると言われているのです。

なぜそのような業界に参入しているのでしょうか?

追い出し部屋とは言われているが…
SOMPOの介護事業についてネットで検索すると、

「エリート営業マンを介護事業へ追いやって人員整理をするつもりだ」といった意見がヒットします。実際に2019年に「今後国内損保事業の従業員を4,000人削減する」と発表しました。

しかし、22年3月期時点では、国内損保事業の従業員は19年から3,000人近く減少しましたが、介護事業は300人のみの増員です。

この減少した3,000人がそのまま介護事業で働いていれば、その通説も正しいことになりますが、私は決してそうではないと考えます。おそらく、この人員減は自然退職と採用の絞り込みを行ったのでしょう。

介護のデータを外販している
私が考える介護事業の真の狙いは事業間シナジーです。

実は、SOMPOは介護事業を通じて認知症保険の販売チャンスを狙っています。また、介護施設の入居者の介護の時間や内容などのデータを可視化し、綜合警備保障などに外販するなど新たなビジネスチャンスを確立しています。

今後は、介護の第一線で取得した情報を元に、高齢者の実態を考慮した新種の保険を開発するなど、様々なチャンスが生まれる可能性があります。

従って、私が考えるSOMPOが介護事業を運営する理由は、介護事業で利益を伸ばそうとするのではなく、介護を通じて新種保険の開発や高齢者データ分析など本業の保険に新たな付加価値をつけるための事業であると思います。

SOMPOの3つの特徴をまとめます。

国内3位のメガ損保である。国内と海外のバランスが良い
海外保険が急成長中。M&Aと農業保険がポイント
介護事業で新たな価値創造へ挑んでいる
安定性と成長性、チャレンジ性をバランスよく保っている、そんな印象を持ちました。

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