「皆が賃上げの恩恵を受けているわけではない。偏りは世代間で目につく。厚労省の賃金構造基本統計調査によると、23年の20〜30代の正社員の給与は10年前の同世代より1万円あまり高い。40代後半は1千円強しか増えていない。50代前半はむしろ減った。」
初任給の引き上げや定年延長、再雇用者への減給見直しの動きのなかで氷河期世代が割りを食っているというのは指摘されてきた。しかし、その氷河期世代にも格差があったとは! カブトが属する「 50代前半はむしろ減った。」!氷河期でも比較的若い後期氷河期(笑)は間に合ったわけだ。
しかし、驚いたのは識者のコメント。
柳沢幸雄氏( 北鎌倉女子学園学園長・東京大学名誉教授)はこう説く。
「二部授業」という言葉を知っている人、ましてや経験した人は今や完全な少数派だと思う。団塊世代の私の小学校1年生の生活は、午後クラスから始まった。一クラスに60人の児童を収容しても教室の数が足らず、午前クラスと午後クラスに分けて行う授業が「二部授業」である。
各世代それぞれに不遇な部分は探せばいくらでもあるだろう。全体に向けた施策の立案には、各世代の特徴に配慮すべきではあるが、個人として世代の不遇を嘆いても、恨んでも何の解決にもならない。不遇部分をどのようにして乗り越えるかを自らに問わなければならない。
AIによって大きく変わりつつある今こそ、リスキリングのチャンスである。
「二部授業」を受けたという「不遇」と、社会人のスタート時点で定職に就けない或いは劣悪な待遇に甘んじたという「不遇」とは決定的に違う。就職の爪衝きが結婚や子育て、老後に影を落としているのだから。ともあれ、「個人として世代の不遇を嘆いても、恨んでも何の解決にもならない。」というのはそのとおりではある。ただ、「AIによって大きく変わりつつある今こそ、リスキリングのチャンスである。」かどうかは甚だ疑問だが。
山本真義氏(名古屋大学未来材料・システム研究所、名古屋大学大学院工学研究科電気工学専攻 教授)は、「 特に働き盛りの年齢である氷河期世代は体力もあり、上記で最も労働力として期待できます。これからこの世代に対して半導体人材としての育成はいかがでしょうか?」と提案するのだが、本気で言っているのか?冗談もほどほどにしないと(笑)。
氷河期世代、昇進遅く賃上げ鈍く 老後は社会保障に懸念
日本経済新聞 電子版 2024/7/27
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE097X10Z00C24A4000000/