優柔果断カブログ

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怒濤の売り!

2トップのNTTと郵船とを敵陣に残し、ほかはすべて売り払う。最も堅い株と景気敏感株と。郵船は中間配当@1000円に目が眩んだわけだが、郵船ロジスティクスやNCA(日本貨物航空)を傘下に持ち、陸海空運の総合力に魅力を感じる面もある。来年の新中期経営計画発表までは、持ち続けたい。3分割で切り売りもできるし。

すべての株を持ち越したうえで11月の中間決算発表前後で売ろうか?と考えていたのだが、日経の記事を見て豹変した。

〈プロの羅針盤〉景気後退なんて怖くない

(重見吉徳)フィデリティ投信 フィデリティ・インスティテュート マクロストラテジスト

FRBは過去2カ月あまりの株価の戻りに接して「もはや、景気後退を起こすしか株価もインフレも抑制できない」と覚悟を決めているでしょう。

重見氏の見立てを乱暴にまとめるとこうだ。

既に年初から景気後退入りしており、底打ちするまでに1年半かかる。株価下落は30%でいまは5合目。「下がるならこれからが本番です」。

1年半=18カ月の折り返しの9月に今まさに立っている。嵐に備えるには今しかない。小さい動機付けとして、ソニー銀行の優遇プログラム Club S がステージダウンの可能性のある判定月を9月末に迎えることがある。デビットカードのキャッシュバック0.5%上積みとATM/振り込み無料利用回数増加という優遇措置が預金総額300万円に届かないと失われる。配当に比べれば微々たるものとはいえ。より本質的には生活防衛資金、預金備蓄を回復することに意味があろうが。

アセットアロケーションはカブ:カネ=6:4に改善した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB315Z10R30C22A8000000/?type=my#AAAUAgAAMA

景気後退なんて怖くない(重見吉徳)
〈プロの羅針盤〉フィデリティ投信 フィデリティ・インスティテュート マクロストラテジスト
プロの羅針盤
2022年9月13日 4:00 [有料会員限定]
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で重要な考えを示しました。実感いただくためにそれらを書き出します。

「インフレを低下させるためにはトレンドよりも低い成長がしばらくの間続くことが必要」「現在よりも高い金利、低い成長、そしてソフトな労働市場は(中略)家計と企業に幾分の痛みをもたらす。それらはインフレを低下させるための不幸なコストである」「労働市場は特に強く、明らかに需給のバランスが取れていない」「物価の安定を回復するためにはしばらくの間、引き締め的な政策スタンスを維持する必要がある」

「我々の目的はいま決意を持って行動することによって、過去と同じ結末(=1960年代中盤から80年代前半にかけてのインフレを抑えるのに失敗し続けた15年と、その後の非常に引き締め的な金融政策)を避けることである」そして「仕事を完成させるまで忍耐強く続ける必要がある」と、結びを含め2度強調しました。

 

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、米ジャクソンホール会議で重要なメッセージを発信した(米ワイオミング州ジャクソンホール会議の会場)=ロイター

要約すれば、今後は①利上げの「打ち止め水準」が引き上げられ、②その打ち止め水準での「金利据え置き」が長く続くことを織り込ませていきますよ、ということでしょう。

またFRBは、保有債券の償還(自然減)によって、流動性を減らしていく量的引き締め(QT)を6月から開始しました。とはいえ資産の圧縮はまだほとんど進んでおらず、QTはこれから本格化します。

以上2点を合わせて考えると、今後は短期金利にも長期金利にも上昇圧力が生じて、「米国の成長株を中心に軟調になる局面」が見込まれます。

株高はインフレ抑制の邪魔者
ただし、筆者の試算では政策金利が3%超まで引き上げられると、FRBによる民間機関への支払利息が保有債券からの受取利息を上回ってバランスシートに『逆ザヤ』が生じます。さらには資本金や剰余金の水準を考えると、4%を超える政策金利を1年間継続するのは困難が伴うと見られます。

FRBにとってのベストシナリオは「インフレが自然に収まり、低金利のまま景気後退は来ず、資産も圧縮できる」状況だったでしょう。セカンドベストは「低金利のまま、景気後退が訪れ、資産は圧縮できないが、インフレは抑制できる」だったでしょう。

しかし、時間がインフレを解決してくれない中、取りうる望ましいシナリオは「厳しい引き締めを急速に織り込ませることで金利が一気に上がり、早期に景気後退・ゼロ金利へと向かう」ことだと思えます。この場合、資産の圧縮はできませんが、インフレは抑制でき、『逆ザヤ』が続いてドル不安を招くこともありません。

6月の米連邦公開市場委員会FOMC)以降、約2カ月にわたって株価の上昇が続きました。FRBにとってみると、株価の戻りは「邪魔者」でしかなかったはずです。なぜなら、株価の上昇はインフレの抑制を阻んでしまうためです。

実際、米セントルイス連銀が算出する「金融ストレス指数」は、大幅な利上げにも関わらず過去最低水準にまで下がり、金融市場は「ストレスフリー」の状態でした。
またS&P500種株価指数のPER(株価収益率)も上昇していました。それもそのはずで、実質政策金利(=政策金利マイナスインフレ率)は依然、大幅なマイナスであり、金融環境は緩和的だからです。

FRBは過去2カ月あまりの株価の戻りに接して「もはや、景気後退を起こすしか株価もインフレも抑制できない」と覚悟を決めているでしょう。

マーケットエコノミストの半数超が「すでに景気後退に入っている」との調査があるようです。ただ重要なのは、景気後退入りの期間判定ではなく、今後の株式市場に小さくない調整が訪れる恐れがあるということでしょう。

景気後退で株「27.9%下落」
では株価はどこまで下落し、いつ底を打つでしょうか。

米エール大学のロバート・シラー教授のデータに基づくと、S&P500は1871年までさかのぼることができます。

同年以降の米国の景気後退における株価の平均下落率は「マイナス27.9%」です。今回はこれまでで「マイナス16.6%」です(いずれも月中平均値に基づく。景気後退入りする前の期間を含む高値から、景気後退明け後の期間を含む安値までを取得して算出)。
「過去の平均並み」と想定すると、現状の3900付近の株価は3370台まで下落し、その付近で1カ月程度推移する計算です。

株価が「過去の平均並み」に下落し、金利上昇を伴うとすれば、調整は時価総額に占める割合が多く、金利上昇に弱い米国の大型成長株式が中心となることが避けられません。

次に、そうした安値にいつ頃到達するかを考えてみます。

やはり1871年以降のデータに従うと、株価は平均して「景気後退入りの約5カ月前にピークを付け、景気後退明けの約5カ月前に底打ち」をしています。すなわち、我々の想像どおり、株価は景気を先読みして動きます(両者は四捨五入の結果、偶然に一致しました)。

1871年以降の景気後退の平均期間は「約16.7カ月」です。上記のとおり、株価は「景気後退とパラレルに約5カ月先立って動く」ことから、株価の平均的な下落期間も景気後退の平均期間と同じ「約16.7カ月」程度と考えられます。

今回の株価のピークは今年1月でしたから(月中平均では昨年12月)、1月に16.7カ月を足すと、株価の底打ちは来年の4~5月あたりと計算されます。

米国の株価がここから8~9カ月程度下落するのは長く感じられるかもしれませんが、長期投資を前提とすると、株価が下落するときは「悲観のとき」ではなく、「安く買えるタイミング」です。積み立て投資が一案でしょう。いまからでも遅くないというより、下がるならこれからが本番です。
すでに資産運用を継続されていらっしゃる方も、景気後退を恐れる必要はありません。分散投資を徹底していれば、下落による損失は限定的と考えられるためです。

過去30年あまりの期間にわたり、先進国株式、先進国不動産投資信託REIT)、米国国債、米国ハイイールド債券、商品・コモディティの5つの資産に20%ずつ等分で投資をしたときのリターンを計測すると、マイナスになる年でも損失はせいぜい10%程度です。

確かに2008年は大幅なマイナスとなりましたが、現状は米国で野放図な貸し付けが大部分を占めているわけではなく、08年の再来に備えることは合理的ではないでしょう。

重見吉徳(しげみ・よしのり)
フィデリティ投信 フィデリティ・インスティテュート マクロストラテジスト。2002年大阪大大学院修了(経済学修士)。農林中央金庫野村アセットマネジメントで外債などの投資・運用業務に従事。JPモルガン・アセットマネジメントを経て、20年より現職。
日経ヴェリタス2022年9月11日号]

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